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正直いって、僕はお金儲けには興味ないんです。関心があるのは、お菓子を通してお客さまをいかに喜ばせるか。それだけです。
そのことをどんどん追求してたどり着いた答えが、素材の品質に徹底的にこだわること、そしてその持ち味をひきだす技術と知恵を駆使することでした。できるだけ自然に近く、安心できる栽培方法で育った作物には、本物だけがもつ風味があります。
そしてお菓子作りは、手間をかければかけるほどおいしくなります。だから、当然ながら大量生産はできないのです。
お菓子の五大原料といわれる、水、小麦粉、砂糖、卵、牛乳はもちろんのこと、アーモンド、バター、さまざまなフルーツや香辛料にいたるまで、すべてにおいて一切妥協はしません。素材の風味を見極める感覚を磨くと同時に、栽培環境についてもきっちりと調べます。そうやって選ばれた素材のなかには、世界でも数%しか採れないような貴重なものもあるのです。
そして、その持ち味をどうやって引き出してあげるか。そこがお菓子職人の腕の見せどころです。たとえばオレンジの甘煮は、とろとろの弱火で一週間炊いて、少しずつ少しずつ砂糖を加えていきます。肉厚なオレンジの風味と爽やかな香りを生かすためには、それだけの工程と時間がかかるのです。
鶏の食べるエサにまで配慮した鶏舎で採れる、高級な卵を取り寄せています。
その卵は雑味がなく、すっきりとしていながらも旨味やコクは濃厚。 卵自体にエネルギーがあるので、お菓子がふんわり仕上がるのです。 ツマガリでは、すべてのお菓子にこの卵を使っています。
しっかりとした濃さがあるのに、さらっと飲みやすい。ふっと草原の 風が吹いたような、自然でとても温かみのある味がします。
大きな山がいくつも連なる大自然のなかで飼われている牛から採 れるもの。好きなときにエサを食べ、小川の水を飲み、好きな場所 で眠るといった、できるかぎり野生に近い状態で暮らしています。
お菓子の種類によって、使う小麦粉は変わります。パイ生地には、 しっかりした歯ごたえを出せるフランスパン用の小麦粉。焼菓子に は、ソフトに仕上がり、口溶けが良くたんぱく量が少なめの小麦粉。 そしてクッキーには、風味や食感を重視した小麦粉。それぞれに使 い分けることで、お菓子の食感や風味を引き出します。
温暖な気候と肥沃な大地に恵まれた、アルゼンチンのさとうきび 畑。そこで収穫される良質なさとうきびだけを使用したオーガニッ クシュガーには、ミネラルが豊富に含まれています。
この特別な砂糖 のおいしさが、お菓子の味わいをより一層深めてくれるのです。素 材の香りや風味を生かして純粋な甘味と切れ味を出してくれます。